東方社
 東方社が昭和30年前後に出していたハードカバーを集めました。
 ユーモアや時代物、サラリーマン物など、大衆小説と呼ばれるジャンル全般を扱っていて、探偵小説はあくまでもその中の1ジャンルです。探偵小説の叢書名は特にありませんが、長編には「探偵長編小説」、短編集には「新作探偵小説」の表記があります。
 ポップで可愛いカバー絵と、ページ数の割にドッシリとした厚みが特徴です。
 僕が集めだした頃は比較的安く手に入ったのですが、今では2倍から3倍になってしまい簡単に買えなくなってしまいました。
 奥付のない本が数冊ありますが、これはT蔵書(某Tという人の蔵書本で蔵書印ベタベタ、奥付切り取りのため無し、というすさまじい本)のせいです。数年前のデパート市で安く大量に放出され、友人達と掴み合いました。
 今年は仕事のせいで、悲しいことに本を読む時間がありませんでした(ここ30年で一番少ない!!)。なので、感想が書けません。カバーアートをお楽しみ下さい。


娘たちは怖い
大下宇陀児 S30年5月
娘たちは怖い・紅の女・璽光さま・失踪少女・悪漢の街・丈助の死・鬘・恋と死の維也納・五人の射撃手
 東方社から大下の著作は多分20冊以上出ています。なので集める気がなくてもやっぱり集まってしまいます。
 特定の作家が集まるとコレクターみたいでヤなんですけどね。
「コレクターやんけ、お前」
 はい、すみません。
奇蹟の處女
大下宇陀児 S30年10月
 このタイトルは異種本で一体何冊持っているのでしょうか私は。これではまるでコレクターみたいじゃないですか。怖くて数えたくないです。
昆虫男爵
大下宇陀児 奥付切れで不明
昆虫男爵・風船殺人・街の毒草
 帯が貼り付けられているせいで、絵が全部見えません。縁日とかで、子供の肩にとまってふわふわ浮いてるビニール人形に見えて仕方がありません。
殺人技師
大下宇陀児 奥付切れで不明
殺人技師・めくら地獄・緋縮緬事件・蛍を食べる女・帆走船殺人
 このシリーズに珍しく具象画の表紙です。

 T蔵書です。ちなみに、6Pめまでに7個の蔵書印が捺されています。少ない方です(笑)

髑髏島
大下宇陀児 S31年7月
 この長編はあまり単行本になっていない気がするのですが、つまらないのでしょうか。面白そうなタイトルなんですが。「だったら読めよ」
 はい、わかってるんですけどね。
毒環
大下宇陀児 S30年8月
 逆にこちらは、異種本がたくさん出ています。きっと代表作なんでしょう。でも読んでないのです、これが。
ホテル紅館
大下宇陀児 S29年11月
ホテル紅館・赤い蝙蝠・光の城
 下の「魔人」と並べると美しいですね。等と、どうでもいいこと書く私。読んでいない本のコメントを書く苦労をわかってもられるでしょうか?
魔人
大下宇陀児 S30年3月
魔人・柳下家の心理・欠伸する悪魔
 上の「ホテル紅館」と並べると…って、ひつこいわ。
 でも「魔人」は裏表紙までイラストが続いていますが、こっちは無しです。他の本もあったりなかったり(発行年に関係なし)で、どうにも適当です。
災厄の樹
大下宇陀児 S32年12月
 昭和32年になると、背表紙から「新作探偵小説」とか「探偵長編小説」の表記が消えます。
閑雅な殺人
大坪砂男 S30年4月
閑雅な殺人・白い文化住宅・虚影・花束・逃避行・検事調書・蟋蟀の歌・黒子・雨男雪女・初恋・零人・賓客皆秀才・天狗・外套・胡蝶の行方
 大坪は多分これ1冊。だって、著作が少ない人だからして。
 一見ロールシャッハですが、よーく見ると左右対称に手で描いている律義なイラストレーターは大坪自身です。
噴火口上の殺人
岡田鯱彦 S30年11月
噴火口上の殺人・地獄から来た女・毒唇・死の湖畔・偽装強盗殺人事件・巧弁・目撃者・愛の殺人
 市場価格は香山並にべらぼうですが、友人に安く譲ってもらいました。 欲しかった1冊。
侍医タルムドの遺書
木々高太郎 S30年5月
夜光・侍医タルムドの遺書・遺花・六條執念・少女の臀に禮する男・祖母と猫・悪魔は尾をもっているか・幻想の曲・大名髪の毛を食べる
 木々は他に「菰田村事件」が出てるだけだと思うのですが、自信はありません。
池水荘綺譚
甲賀三郎 S31年9月
池水荘綺譚・気早の惣太
 タイトルはりっぱなお館物ですが、すっかり裏切られました。もちろん悪い方に(笑)。と、甲賀三郎の項に詳しい感想を書いています。
N2号館の殺人
甲賀三郎 S31年6月
N2号館の殺人・操る魔手・虞美人の涙
 帯つきの美本で嬉しかったのですが、その帯と帯の背に「白銅貨の秘密」と書かれてるので、てっきり違う本の帯がついてるのかとあせりました。ややこしいあおりの書き方しないで欲しいものです。
蟇屋敷の殺人
甲賀三郎 S30年10月
 ここからの4冊も甲賀の項に詳しい感想を書いていますので、内容を知りたい人はそちらをどうぞ。 
體温計殺人事件
甲賀三郎 S32年1月
體温計殺人事件・仁川家殺人事件・霧婦人・誰が裁いたか・錬金術師『体温計殺人事件』
 この短編集は僕のお気に入り。
犯罪発明者
甲賀三郎 S30年9月
犯罪発明者・母の秘密・琥珀のパイプ・ニッケル
 kashibaさんもお気に入りの主人公獅子内俊次が行く先々で死体の山を築きます。お前がいなけりゃ事件はとっくに解決じゃぁ。
妖魔の哄笑
甲賀三郎 昭和30年6月
妖魔の哄笑・四次元の断面
 新聞連載を思いっきり意識して書いているので、3Pごとに展開があります。ありすぎて途中から筋はどうでもよくななってしまいます。
仮面の街
島田一男 S30年3月
仮面の街・強風
「仮面の〜」というタイトルで統一された短編集。主人公は新米女性記者と敏腕記者のコンビ。
 島田一男って新聞記者が好きですね。 
血ぬられた薔薇
高木彬光 S30年5月
血ぬられた薔薇・嘘つき娘・私は殺される・天誅・小指のない魔女・女の手
 東方社の高木作品の数は大下、甲賀、横溝に次ぐ多さで、この世代の中では断トツです。
赤と黒の狂想曲
水谷 準 S30年6月
流星は赤かった・蜜月号事件・悲劇の触手・東方のヴィーナス・魔女マレーザ・暗殺者と薔薇・赤と黒の狂想曲
 水谷の項に感想があります。
悪魔の誕生
水谷 準 S30年10月
 と、ここまで書いてきて、僕がこれらの本が好きな理由がもう一つ判りました。それはカバーがコーティングされていないということです。コーティングは汚れないし痛みません。でも代わりに美しさを失ったと思っています。
夜歩く
横溝正史 S29年11月
 ハードボイルドな表紙です。
 横溝は探偵物以外に、時代物も多く出版されています。
ハスキル人
画像を取り込むのを忘れました 高木彬光 昭和33年9月
 巻末の既刊リスト目当てで買いました。
 そうか、この頃からカバーがコーティングされるようになったのか。

 高木には珍しいSFです。ここ何年間の間「暇が出来たら絶対読むぞリスト」の一番上に鎮座してますが、いざそのときにはいつも忘れられている可哀想な作品です。
畸形の天女
このページを作ったあとで、本棚から見つけました。 『畸形の天女』 江戸川乱歩・大下・角田・木々
『女妖』 乱歩・香山・鷲尾
昭和35年10月
 春陽文庫で出てしまったので、有り難みが減ってしまった本です。
 35年発行の初版なのに33年の「ハスキル人」の既刊リストに載っているのはなぜ? 判らないことは多いです。