江戸川乱歩・漫画化作品
 あんまり数はありません。元々は、昭和45年に少年キングに掲載された石川球太作品を探すのが動機でした。なので他の本はその存在自体を知らずに見つけたのが多いです。
 探していて気がついたのは、大乱歩にしては意外に漫画化された数が少ないということ。ま、それだけに探しがいがあるというものですけれど。
 実は石川作品が載っている少年キングは(ライバルを増やしたくなくて)こっそり探していたのですが(笑)、本日(3月9日)角川ホラー文庫から復刻本が出、隠しておく意味が消えたので白状した次第なのであります。ああ、喜国ってなんてセコイんでしょうね(笑)。にしても、角川からは出して欲しくなかったんですがね(理由は後述)。


「少年クラブ」付録
「大金塊」 「怪奇四十面相」
カゴ直利 田中 久
S31年8月号 S31年9月号
 2冊とも某デパート古書市で見つけました。2日目だったので、通常の棚にいいものは残ってないだろうと、普段見ない付録マンガのところを見ていて発見しました。以来、デパート展では必ず付録マンガのコーナーも見るようにしているのですが、「柳の下に泥鰌は…」のことわざ通りです。
 『怪奇四十面相』の悪人達はみんな骸骨の格好をしているのですが、これがすごく可愛いです。
少年探偵「海底の魔術師」(江戸川乱歩全集8)
おおのみきを
あかしや書房 S32年
 カバ欠けなのが惜しいです。でもこの手の本にそこまで望むのは無理な話。たまに非常に程度のいいものを見ますが、なんか変な気持ちがします。ズタズタに読み込まれてこそのマンガなのですから。
 こういう本の嬉しさは最初の16pの4色でしょう。アミが粗くていい味です。真っ赤なおばけガニのデザインが凄くカッコイイです。全部で何冊出たのかはしりません。
少年探偵団「虎の牙」
高野てつじ
黎明社 奥付に発行日の記載なし
 巻末に9巻までのリストがついていますが、やはり全部で何冊出たのかは知りません。
 絵は目茶下手です。魔法博士はただの人の良いおっさんです。僕が当時この本を買ってもらった子供だったらきっと悲しんだことでしょう。表紙の絵は上手いですが、違う人です。この時代では当たり前の販売促進行為なのですが、一種の詐欺ですね。でも、こういう経験を経て、子供は生きていくための知恵を身につけていくのです。
雑誌「少年キング」 S45年

「江戸川乱歩恐怖シリーズ」と名付けられた作品が19週に渡って掲載されました。作品は次の7作『白髪鬼』横山光輝、『地獄風景』桑田次郎、『屋根裏の散歩者』古賀新一、『人間椅子』『芋虫』『白昼夢』『お勢地獄』すべて石川球太
 そして10年かけて集めたのは次の10冊。15号『白髪鬼1』、17号『同3』、20号『同6(最終回)』、21号『地獄風景1』、22号『同2』、23号『同3』、24号『同4(最終回)』、33号『屋根裏の散歩者4(最終回)』、34号『人間椅子(前編)』、37号『白昼夢』
 春陽文庫の短編集ですでに大人な乱歩と出会ってはいましたが、漫画化されたこれらの作品はすべて原作より先に読みました。なので僕にとっての『白髪鬼』や『白昼夢』のイメージはこっちです。中でも『芋虫』は強烈でした。この作品を読み返したいがため、少年キング狩りの旅が始まりました。どこにも売ってません。持ってる人も知りません。国会図書館にもありません。どんなに高くてもお金さえ出せば買える『ドグラマグラ』より、1冊2千円程度のこの本の方が、僕にとっては価値があるのです。角川ホラー文庫で収録の予定がありますが、もしそうなっても、この本を探す旅は終わりません。
「怪人二十面相」(全2巻)
藤子不二雄 
中公コミックス
(藤子不二雄ランドNO253,NO257)
89年
 比較的新しい作品なのに見ません。故に高いです(この作品に限らず「藤子不二雄ランド」は皆高いですが)。口絵に嘘っ子セル画がついていて嬉しいです。先日某地下街の古書市でこれの元版コミックス(「少年」付録?)を見つけましたが、手が出ませんでした。2巻目には『鋼鉄の魔人』『海底魔』収録、それぞれの巻末に「二十面相クイズ」が6pついています。
 このマンガにポケット小僧が登場しますが、ちっともポケットサイズじゃありません。絵描きが乱歩の漫画化で一番苦労するのは実はそこではないでしょうか。
「環妖の系譜」(真崎守選集13)
画/真崎守 脚本/宮田雪
ブロンズ社 S53年
 『鏡地獄』『巡礼万華鏡』というタイトルで収録されています。この『巡礼万華鏡』は他の真崎守のコミックスに収録されていた記憶があるのですが、それらの本はすべて実家にあるので確認出来ません。
 真崎守は僕が青年期に最も影響を受けた3人の漫画家のうちの一人(あとの二人は山上たつひこさんと鈴木翁司さん)。23年前に中野でサインをもらうチャンスがあったのですが、「本を差し出す勇気も無い僕に、電話番号を教えてくれる」という信じられない優しさをくれた人です。当時の僕はただの大学生、のちにめでたく漫画家になりはしましたが、電話をする根性が生まれる訳もなく、現在に至るまで一度もかけていません。当たり前です。かけられる訳がありません。
 この本には他に
『炎の軌跡』横溝正史『鬼火』『初夏のカルテ』山田風太郎『虚像淫楽』)が収録されていますが、3本ともすべて名作に仕上がっています。
講談社なかよしコミックス
「ドクターGの島」
高階良子
S53
「黒とかげ」
高階良子
S56 20刷り
「血とばらの悪魔」
高階良子
S56 23刷り
 『ドクターG』は『孤島の鬼』、『血とばら』は『パ丿ラマ島奇談』が原作。
 『ドクターG』は今なら多分表現に苦労するはずです(理由は分かると思います)。当たり前ですが、主人公が少女に変えられています。なので、最後の洞窟のシーンが妖しくなりません(そこだけ描きたい人はいっぱいいるでしょう)。再び当たり前ですが、これらは少女マンガです。なのでパノラマ島もちっともいやらしくありません。そこだけだったらぜひ僕が描きたいです。脚です!美脚の王国です!!すんません、つい力が入ってしまいました。
「ガロ」
青林堂 94年4月号
 「江戸川乱歩の世界」という特集号です。丸尾末広花輪和一日野日出志など、いかにもなマンガ家が乱歩世界をイラスト化しています。マンガではないですが、和島慎治君(人間椅子ギター)のエッセイ「乱歩の作中人物は誰あるか」は感心しました。
まんが江戸川乱歩シリーズ「少年探偵団」(全3巻)
山田貴敏
小学館 97〜99年
1巻 『怪人二十面相』
2巻 『大暗室』『妖怪博士』
3巻 『呪いの指紋』
 なぜ小学館が乱歩を出す?しかも3冊という中途半端な巻数で。でもって山田貴敏、めっちゃ絵上手いやんけ(これは何も今気づいたことではありませんが)。書下し(マンガ)というのは往々にして手抜きになることが多いのですが、連載物より気合いが入ってるように見えるのは僕だけか?非常に雰囲気いいので3冊でやめるのは勿体ないです。もっと続けて下さいな小学館様。
 ちなみに1巻の解説は我孫子武丸さん。本が出たときに「こんなとこでこっそり仕事して。どうして教えてくれないのさ」と言ったら、「え、もう出てたの? 送ってこないから知らなかった」の返事。あるんですよね、小学館って、時々こういうことが。
「陰獣」
監修/小池一夫 画/バロン吉元 
小池書院ひゅうまんコミックス 99年
 文豪シリーズと名付けられたうちの1冊。コンビニで発見したときは驚きました。「何でバロン吉元なの?」 でも、数年後には入手困難本になりそうだなと、ついフラフラと買ってしまいました。でも読んでみて気づいたのは「ここまで正攻法で乱歩作品を描いた人は少ない」ということ。最近では映画でも何でも乱歩の大人物は「アートな方向」を目指した物が多いですから、好感が持てました。さすがバロン吉元、ベテランの味だね。
「白髪鬼」(ホラーコミック傑作選 第5集)
『白髪鬼』画/横山光輝
『地獄風景』画/桑田次郎
『陰獣』画/古賀新一
角川ホラー文庫 00年
 少年キングのこの企画の前年(S44年)には小栗虫太郎『人外魔境』が漫画化されました(こっちの元本はまだ1冊しか探してません)。それが昨年、このシリーズの第4集として角川ホラー文庫から復刻されました。出版がわかったときからワクワクして発売日を待っていました。ところが、です。「なんじゃコリャ」 作品は欠けているわ、関係ないのは入ってるわ、それらの事情を含めた、編修意図や解説の類は一切ないわ。「ひどいつくりの本だな」 期待が大きかっただけに裏切られた感もひどかったです(収録された作品に文句はないです)。次にはこれが企画されていると聞きました。せめて解説がつくことを祈っていました。見てのとおりです。事情もわかります。こんな部数のはけない本は解説の原稿料だってバカにならないということ。でも、解説を読んで、買う本を選ぶ人が多いのも事実です(現在のマンガの復刻本ブームはそういう付属部分を売りにしているところが大です)。損して得とれ。いいじゃんね、『リング』売れてんだから。
 この本が売れたら次(石川球太)があるそうです。