大下宇陀児・仙花紙本
 大下宇陀児の仙花紙本コレクションです。集める気がないのに集まってしまいました。その理由は「当時は乱歩に次ぐ人気作家だっただけに出版点数が多い」「それに比べて現在は人気が低く価格が手ごろ」の2つだと思います。数年前まではどこのデパート古書市でも専門店以外の店に(木々高太郎と共に)1、2冊は落ちていましたが、最近ではあまり見かけなくなりました。
 髑髏島 
オールロマンス社 奥付切れ、発行日不明
 タイトルに合った不気味なイラスト。仙花紙本にこの手のカバーは意外に少ないです。
 狂楽師 
一聯社 S21年6月
 装幀家の名前が表記されてないのは仙花紙本では当たり前。二色刷りなカバーがいかにも仙花紙本ないい雰囲気。
 情獄 
平凡社 S21年6月
情獄・爪・殺人映画・星史郎懺悔録・奇怪な剥製師・説教強盗・金色の獏・鬼頭夫妻の遊戯三昧・傴僂男
 本文にも挿絵がたっぷり(しかも明らかに複数人の仕事)ですが、思いっきり素人な絵も混じってます。発行人の親戚縁者かしら?そういうことを考えるのも仙花紙本の楽しみです。
 三角社事件
一号館書房 S21年10月
三角社事件・貫太郎物語
 三角社事件だから絵柄も三角、正しいです。ちなみにこれを描いた画家は右利きでしょうね。なぜだか分かります?
 魔人
一聯社 S21年10月
 ビルヂング、のぼり、帽子の男、人込み、レンガ壁に貼られた艶めかしい女性のポスタア、これぞ帝都の探偵小説!
 凧
早川書房 S21年11月
凧・紫色燈の魔女・雪の城・悪女・なめくじ綺譚・落語家変相図
 書き込みがあります。「昭和22年2月2日、上野駅前某書店にて求む。車中読了」これだけの文章でドラマが想像できます。本文はたっぷりと250P、新幹線だったら車中で読了出来ていないでしょうね。
 奇蹟の処女
松竹出版 S21年12月
 この画像の大きさではよく判りませんが、女性の肩にナイフが刺さっています。窓越しの目撃でしょうか? 読んだのは随分前なので、ちっとも内容を覚えてないのです。
殺人技師
日正書房 S22年3月
 顔のアップは目立ちます。しかも口が切れているので不安定。下手に凝るより効果がありますね。装幀は山名文夫
 ホテル紅館
かもめ書房 S22年3月11日
ホテル紅館・赤い蝙蝠
 大阪の貸本屋の印があります。かもめ書房は京都の出版社ですからね。最近は、こういう風に人の匂いの痕跡がある本の方が、奇麗な本より好きだったりします。安く買えるしね。
 ホテル紅館
熊谷書房 S22年3月25日
ホテル紅館・赤い蝙蝠
  かもめ書房版の紙型を流用しています。発行者は同じ、たったの2週間違い。謎です、熊谷書房。
 情鬼
高原社 S22年5月
 凝ったデザインにポップな配色。一生懸命仕事をしていても、やはり名前はありません。
 欠伸する悪魔
世間書房 S22年6月
欠伸する悪魔・血妖・恐るべき教師・アパアトの殺人・緋縮緬事件・三時間の悪魔
 表紙は単色、口絵がカラーという粋な作りになっています。装幀は高井貞二
 魔法街
世界社 S22年7月
魔法街・偽悪病患者・山野先生の死・ぎん子の靴下・嘘つきアパート・戦慄の時計・烙印
 大胆で繊細な装幀は山名文夫
 蛭川博士
美和書房 S22年9月 2刷
 仙花紙本に珍しい本文2段組みで、たっぷり楽しめます。
 不思議な母
オリオン社 S22年11月
不思議な母・場所をふさげる・浮浪児・失踪少女・鬘・夜の輻射線・悪漢の街
ど う見ても上の『欠伸する悪魔』と同じ高井貞二装幀だと思うのですが、名前がありません。と思ったら、口絵に小さく「TEIJI」とサインがあるのを見つけました。良かった良かった。
 傑作探偵小説集
隆文堂 S23年2月
怪異の変装者・毒・餓鬼道
 真っ赤な口紅の女性の面、鎖を巻いたトルソー、切れた手首、カッチョイイです。装幀は上倉大造
 あかづの函
日本文京社 S23年10月
あかづの函・痣・蝋人形異聞・老婆三態・狂女・十四人目の乗客・獺・吝嗇の真理
 通常の仙花紙本より一回り小さいサイズです。煙の中に口があって、その中に眼があって、という不思議な装幀は橘 小夢
 魔人
秀文館 S23年11月
 かもめ書房と熊谷書房の『ホテル紅館』を別にして、やっと同テキストの本が出てきました。やみくもに買っていたのに、ここまで収録作品がかぶっていないなんて、奇蹟のようで嬉しいぞ。さすが大下、作品数の多さの証明でしょうか。
 黒星団の秘密
青柿社 S23年4月
 大人が活字に飢えていたなら、子供だって飢えていたはず。作者による前書きはこうです。「これは少年諸君のための物語です。しかし、大人の方にとっても、きっと面白く読んで戴けると思っています」だって。なんの、50年後の大人だって楽しんでいるぞ。
 鉄腕拳闘王
不二書房 S24年2月
鉄腕拳闘王・六人の眠人形・呪いの真珠・花びらと怪盗
 「少年物ってさ、高いんだよね」と、ボソッとつぶやいてみたりする。挿絵豊田耕三、装幀伊勢良夫