木々高太郎
 きぎ・たかたろう(1897〜1969)
 海野十三の薦めで小説を執筆。昭和9年『網膜脈視症』(新青年誌)にてデビュー。その後、探偵小説芸術論を提唱。文学性より論理性を強調した甲賀三郎との間に論争を巻き起こし、自らの論を実作にて証明した『人生の阿呆(S11、新青年)』において探偵小説で初の直木賞を受賞した。医学博士でもあり、あのパブロフ博士の最後の日本人弟子である。代表作『折蘆』『わが女学生時代の罪』等。「推理小説」という呼称の生みの親。
 僕の本棚を見た作家の二階堂黎人さんに「こんなに木々高太郎を持ってる人は普通いない」と笑われた。心配になったので今回書き出してみた。そんなに多くなかった。うん、これなら普通だ。と思う。


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やっぱ手書きロゴは良いなあ。

やっぱ少年物は良いなあ。

やっぱハードカバーは良いなあ。


落花
一聯社 S22
落花・新聲・花と微笑・榾柮火・實印・赤ん坊の指・寶歴陪審・封建性・千年前の世界・跛行文明
 この作品集で朝日新聞社刊行の全集(後述)に含まれている作品はたったの2本。これはコレクターズ・アイテムでしょう。国樹由香に「すごく可愛い」と気に入られた装丁は画像を見てください。
少年珊瑚島
湘南書房 S23
黒いカーテン・蝸牛の足・少年と符号・少年珊瑚島
 少年物作品集です。貸本流れなので、状態は極めて悪いです。後ろの刊行リストをみると「川端康成」や「サトウ・ハチロー」に混じって「林 髞」の名前が。これは木々高太郎の本名で、探偵小説以外はこの名前で書いていました。作品は『北里と野口』。日本が生んだ二大医学者、北里柴三郎と野口英世の伝記です。うーん、らしいなぁ。
折蘆
岩谷選書 S24
 代表作です。報知新聞に連載されました。作中でクイーンの『ローマ帽子の謎』のネタバレがあります。
わが女学生時代の罪(日本探偵小説全集)
春陽堂 S28
わが女学生時代の罪・彼の求める影・永遠の女囚
 春陽堂の文庫判でハードカバーという変わった形の全集の一冊。あと3冊で揃います。
木々高太郎(日本探偵小説代表作集5)
小山書店 S31 函欠け
或るアナーキストの死・擬宝珠と石垣・ヴェートーベェン第十交響曲・決闘・詩と暗号・死の設計・二小曲(月光と脱獄囚・死恋)・大浦天主堂
 『或るアナーキストの死』の正式タイトルは『吹笛』ですが、この頃はサブタイトルの『或る〜』がタイトルになっていたことが多いです
光とその影(書下ろし長編探偵小説全集4)
講談社 S31 函
 古書集めをするようになって一番最初に揃えた全集です。
熊笹にかくれて(書下ろし推理小説全集3) 
桃源社 S35 函
 2番目に揃えた全集です。
小栗虫太郎・木々高太郎集(昭和国民文学全集19)
筑摩書房 S53 函
わが女学生時代の罪・網膜脈視症・睡り人形
 この筑摩の全集は4年違いで2度刊行されました(後版は廉価版)。これは後版です。
木々高太郎全集(全6巻)
朝日新聞社 S45〜46 函
 中島河太郎に混じって監修者の一人に松本清張の名があります。実はその松本清張を見いだしたのが木々高太郎だったのです。
1巻
網膜脈視症・睡り人形・青色鞏膜・恋慕・就眠儀式・完全不在証明・医学生と首・幽霊水兵・決闘・胆嚢・人生の阿呆・印度大麻
 「網膜脈視症」という病気がほんとにあるかどうかは知りませんが、探偵小説において、トリックと病気は切り離せません。
2巻
女と瀕死者・不気味な老医師・エキゾチックな短編(緑色の目・盲いた月・死の乳母・夜の翼・ヴェニスの計算狂・大浦天主堂・女の政治・水車のある家)・文学少女・折芦・女の復讐・蝸牛の足・封建性
3巻
風水渙・死人に口あり・秋夜鬼・柊雨堂雨話・永遠の女囚・笛吹(或るアナーキストの死)・宝暦陪審・婚礼通夜・ヴェートーベェン第十交響曲・ストリンドベルヒとの別離・東方光・葡萄
 『永遠の女囚』は悲しく美しい話ですが、この時代だからこそ小説になりえてます。現在だとワイドショーネタにしかなりません。僕が昔の小説に魅かれるのはそういうところもあると思います。『笛吹』は年上の女性に対する恋心がテーマですが、木々はこのテーマを得意としました。
4巻
呪縛・新月・月蝕・無花果・彼の求める影・冬の月光・老人と看護の娘・人形師の幻想・少女の臀に礼する男・夜光・幻想曲・X重量・六条執念
 『新月』は第1回日本推理作家協会賞、短編部門の受賞作品 。
5巻
わが女学生時代の罪・タンポポの生えた土蔵・千草の曲・バラのトゲ・オリムポスの山・異安心・細い眼の孫娘・悪い家系・銀の十字架・失踪・幻滅
6巻
随筆・詩・戯曲・遺稿・絶筆
 まぁ、この6巻は読むことはないでしょう。
人生の阿呆
創元推理文庫 88年
 この本は現役だと思うのですが本屋で見ません。
木々高太郎集(日本探偵小説全集7)
創元推理文庫 88年
網膜脈視症・睡り人形・就眠儀式・柳桜集(緑色の目・文学少女・柳桜集跋)・折蘆・永遠の女囚・新月・月蝕・わが女学生時代の罪・バラのトゲ
 この本が一冊あれば取りあえず代表作は読めます。
網膜脈視症
春陽文庫 97年
網膜脈視症・就眠儀式・妄想の原理・ねむり妻・胆嚢(改訂版)・跋
 『胆嚢』は全集の1巻に入っているものの改訂版です。読むための戯曲を実際に上演できるようにしたみたいです。これも年上の人妻に囲われている青年(といっても34歳!)の話です。コレも現在買えます。
光とその影・決闘
講談社文庫大衆文学館  97年
光とその影・決闘・大浦天主堂・死の乳母・死固・債権・恋慕・青色鞏膜・冬の月光・眠られぬ夜の思い
この大衆文学館は良いシリーズですが、いかんせん値段が高いです。古本文庫に三千円出せますが、新刊文庫に千三百円は納得いかんです(笑)。コレも買えますが、部数が少ないので急いだ方が良いです。